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定期建物賃貸借契約の留意点

カウ不動産の佐藤しんごです。
貸主(オーナー)から定期建物賃貸借契約での契約希望のお話しが議題にあがります。
賃貸借契約は、借地借家法という法律で、借主(入居者)の権利がある程度保護される仕組みがあります。とくに居住用の賃貸アパートや貸家で、家主の希望で退去としてくれとなれば、次の転居先もすぐに見つかる訳でもなく困ります。
ただ、貸主側も将来的に賃貸した不動産を何かの用途で利用したい希望もあったりしますので、定期借家契約を希望される家主も一定数います。
定期建物賃貸借契約の特徴
| 契約期間 | 自由に設定できます(1年でも10年でもOK) |
| 更新 | 原則として「なし」 |
| 終了時 | 期間が満了すれば自動的に終了。貸主は「正当事由」なしで終了できる |
| 再契約 | 双方の同意があれば「再契約」可能(新たな契約として) |
| 契約時の手続き | 借主に対して書面での説明が義務(重要事項説明とは別に) 「借地借家法38条3項 事前通知」 ※現在は電磁的方法での事前通知も可能 |
| 契約書の形式 | 必ず書面(紙または電子契約)で締結する必要あり |
通常の賃貸借契約との違い(普通借家契約との比較)
| 比較項目 | 普通賃貸借 | 定期建物賃貸借 |
| 契約期間 | 原則2年以上 | 自由に設定可 |
| 契約満了後 | 自動的に更新(正当事由が必要) | 自動終了(更新なし) |
| 貸主の都合で終了できるか | 原則できない(正当事由が必要) | 期間満了で終了可能 |
| 貸主の保護 | 強い | 弱い |
| 主な用途 | 住居・事務所など一般的な賃貸 | 期間限定利用(社宅・仮住まい・定期テナントなど) |
定期建物賃貸借契約を有効に成立させるための留意点
定期建物賃貸借契約を成立させるには、事前説明が必要になります。これは、借地借家法38条3項に定められます。
裁判などで問題になるのは、この事前説明を「宅建業者が代わりに説明することは問題ないか?」という点です。実務では宅建業者が書類を作って、貸主に確認(署名捺印)して借主へ交付説明していることが多いと思われます。
裁判所の判示では「借地借家法38条3項の事前説明は、貸主に課せられた義務であり、宅建業者がなすべき重要事項説明をもって当然に代替されるものではない」とありました。
なので、以下の対策が必要になります。
- 宅建業者が貸主に代わり、事前説明を行う際は、貸主から、借地借家法38条3項の事前通知に関する手続きの代理権限をうけた旨の書面での委任状を貸主から受領した後に、説明を行う。
- 事前説明を盛り込んだ重要事項説明重説書を利用する場合でも、貸主からの委任は必須条件。
契約書とは別個独立の書面であることを理解した上で、契約手続きに入ることにしましょう。

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